23 11月

シンタクラースオランダ上陸

こんにちは。世話人の水迫です。11月からオランダはハーグに滞在しています。11月は、国王の日に続くオランダ最大のイベント、シンタクラースがはじまる月です。果たしてどんなイベントなのでしょうか?

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まず、シンタクラースについてご説明しましょう。

シンタクラースは聖ニコラウスのことで、オランダでは14世紀から聖ニコラウスの命日(12月6日)を祝う習慣があったそうです。現在では、11月中旬(第2週の土曜日)に、シンタクラースと彼の従者ズワルトピート(黒いピート)が、スペインから蒸気船でオランダにやってきて、白い馬に乗って、オランダ全土を行脚してながらよい子を訪ねます。その期間、こどもたちが馬のごはんであるニンジンや、手紙などを靴に入れ、暖炉の前において置いておくと、夜中にズワルトピートが煙突からやってきて、チョコやキャンディと交換してくれます。そして12月5日、朝、リリーンと玄関の呼び鈴が鳴るのでドアを開けると、人の姿はなく、あるのは大きな麻袋。シンタクラースがよい子へのプレゼントとおいていったのです。プレゼントを配り終えると、ズワルトピートとともにスペインに戻ります。しかし、帰る姿を見た人は誰一人としていません。ちなみに、サンタクロースの原型はこのシンタクラースにあるといわれています。

11月第2の土曜日、このお祭りの最大イベントであるシンタクラースのオランダ上陸をスケベニンゲンに見に行ってきました。ところで、そっとお伝えしますが、シンタクラースには”メイン”と”ローカル”の2種類があります。全国ネットで生放映されるシンタクラースがメイン、ローカルネットで生中継されるのがローカルです。公式のほうは毎年、寄港する場所が変わり、今年はMaassluisという場所です。「当日、どのくらいの人数のシンタクラースがオランダに来るの?」と聞くと、なに聞いているのとばかり、「ひとりに決まってんじゃん」。昔はメインとローカルの上陸時間に時間差をつけてシンタクラースがオランダに一挙に到着しないようにしていたそうです。子どもの夢をぶち壊さないよう周到に仕込むその情熱は、さすがイベント大国です。

スケベニンゲンの港に設けられた特設舞台は盛り上がりをみせています。

ズワルトピートがすでにあちこちで出没し、子どもに挨拶したり、お菓子をくばっていたりしています。シンタクラースのお手伝いをするズワルトピートは、シャネルズ顔負けの真っ黒い顔、天パの黒髪、赤いくちびる、羽飾りのついた帽子、カーニバル風のカラフルな派手な衣装が特徴です。

シンタクラースの助手として、お菓子くばり、お掃除、お料理、馬のお世話などあらゆる仕事をします。シンタクラースの従順な助手というよりも、ちょっとおっちょこちょいでせわしなく、子どもと一緒に騒ぐのが大好きなキャラクターのようです。だからか、子どもたちの間で絶大なる人気を誇ります。子どものコスプレも、シンタクラースよりも圧倒的にズワルトピートのほうが多いです。

ここ2~3年、ズワルトピートは人種差別的だという議論がもちあがり、黒塗り廃止にまで追い込まれそうな感じになっています。が、そんな論議はどこ吹く風とばかりに、当日は黒塗りだらけ。とはいえ、公式シンタクラースのほうでは、顔に煤がついたズワルトピート(煙突を使うのだから顔は汚れるしという理由から)で決着をつけようとしているようです。

ズワルトピートは確かにシンタクラースが黒人をお付きにしたという話から始まっているものの、人種差別議論は、ちょっとナンセンスかなと思いました。というのも、子どもにとってズワルトピートはズワルトピート以外の何者でもないからです。黒塗りキャラとしてできあがっており、そこに人種などの問題はみじんにも感じません。子どもたちの笑顔で分かります。これからはじまる楽しいイベント週間にやってくる楽しい仲間。そして、大人の側も、ズワルトピートの黒塗りにすることで、子どもの世界に帰ることができるペルソナのような役割を果たしていると思います。

スケベニンゲンでは、仮設会場の歌やらダンスやらがますます盛り上がりをみせていると、ボーッという汽笛が聞こえてきました。100人はくだらない数のズワルトピートを乗せた船がやってきました。赤い帽子、赤いマント、真っ白なおひげのシンタクラースの姿もあります!

船が港に横づけされ、シンタクラースを先頭にスケベニンゲンに上陸。まずハーグ市長がお迎します。次にスペイン大使からも歓迎のスピーチ。次いでプレゼント配り隊、楽隊ピートと、ズワルトピートもぞくぞく上陸します。

上陸後、ルートに従い街の中をパレードします。街中のルートにはすでに人垣ができています。ズワルトピートも出没し、子どもにお菓子を配っています。ちなみに企業ピートもいて、子どもにはお菓子、大人にはチラシを渡していました。

待つこと30分ほど。警察に先導され、パレードがやってきました。楽隊ピート、馬ピート、バービーピート、なぜかシンデレラ、デパートピート、八百屋ピート、踊るピート、地元魚屋ピート、消防ピート、DJピート、いろんなピートがやってきます。ピート、お菓子くばってー、こっち向いてー、ハイタッチして~とあちこちから歓声があがります。

延々とピートパレードが続き、やっと白い馬にのったシンタクラースの姿が見えてきました。聖人というよりも、みんなに愛されている棟梁みたいな印象です。

シンタクラースは子どもだけではなく、大人、ひいてはオランダ人全員のお祭りだと実感しました。大人はシンタクラースとズワルトピートが本当にいるとはもはや思っていませんが、シンタクラースが船でやってきたその瞬間から、子どもとはまた違う次元でその存在を信じているように思います。このお祭りを前に「大人らしくふるまう」作法は無用のよう。そして、自分が小さい頃眼をキラキラ輝かせていたように、あるいはそれ以上に、子どもらがシンタクラースを楽しめるよう、全力を尽くしています。

12月上旬まで、街角でズワルトピート、シンタクラースに出会うのを楽しみにしています。

One thought on “シンタクラースオランダ上陸

  1. シンタクロースの詳しいリポートありがとうございました。
    一昔前滞在していた頃と変わっていない様子に思い出が新たになりました。
    こども連れで賑わうハーヘンの音が聞こえるようです。
    皆さんに賑わいの音を聞いてもらえないのが残念です。
    この季節、ケーキ屋さんのウインドウも、女王の人並んで特色がありましたが、
    今年はどうでしょう。

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