例年の行事として外務省から案内を受けて、日蘭平和交流事業に参加いたしました。
11月16日(水)19時から、シェラトン都ホテルにおいて開催され、FANからは会長村岡、副会長白石、世話人勝野が出席しました。この日事務局長寺町は風邪のために欠席で、FANとしてもいささか頼りない感を持ちながら、オランダ人戦争犠牲者18名の方と交流してきました。
18名の方は11月10日から17日の日程で、福岡、長崎、東京都内で各種の交流事業に参加される予定で来日されました。福岡では水巻の元捕虜収容所見学、長崎では出島見学と平和公園近辺の元捕虜収容所見学に分かれての行動だったようです。
案内に当たられた業者の通訳の方から例年に比べ今年は皆様大変朗らかな感じがしたと伺いました。年月と共に少しはわだかまりも溶解して、友好的な感情で訪日して下さったのかと、こちらも緊張がほぐれる思いで幾人か戦争犠牲者の方々相手にお話ができました。
でも、胸の底に押さえ込んだ記憶と感情は、時間が経っても消え去るものではないと、この事業のオランダ側まとめ役であるタンゲナさん(オランダ人と結婚された日本人女性)がおっしゃっておられました。旅の途中の何かの折に、記憶がまざまざと立ち上り、涙ながらに経験を語った人、心の底に抱えたマグマが噴出してくる衝動を抑えきれない人などの姿をお聞きするに及び、生きている限り消えない傷跡を持って人生を全うしなければならない人々が世界中にまだまだいらっしゃる現実に直面した思いでした。
この方々は殆どがインドネシアの日本統治時代に戦争被害に遭われた人です。2才や3才の頃両親が日本軍の捕虜となって、色々な悲惨な経験の後にオランダに帰国したということでした。
戦争は絶対にしてはいけない、この鉄則こそが後の時代に生きる我々に突きつけられた命題です。犠牲者の方々の日本への思いを和らげていただきたいと同時にこうした交流事業を通じて、戦争の悪をお互いが認識するという機会になることが大切だと思いました。
幸い今回も中央大学の学生が例年よりも多く参加され、若い人達がこの現実をしっかり受け止めて、未来の日本を作る原動力の一つにしていただきたいと切に願いました。
佐倉日蘭協会の中島さん、山岡さんが音頭をとってオランダ人、日本人が入り乱れオランダの歌や日本の歌を歌い盛り上がりました。中央大学の学生全員が我々のよびかけで壇上に上がってくれました。その素直さにまたオバさんは感激したという次第でした。
まだまだオランダには日本に行きたい、この交流事業に参加したいと思っておられる方が大勢おられ、順番待ちだそうです。外務省に今後も続けていただくことをタンゲナさんは要望したようです。非力ながらFANとしても出来る限りの協力をしていきたいと思っております。