アイスランド旅の百聞一見歌

令和元年は、奇しくも金婚の年でした。その記念の旅としてアイスランドに出かけることにしました。狙いはオーロラと火山島の地形探訪です。

人生を終えるまでに見ておきたいこととして、『皆既日食』『ロケットの発射』そして『オーロラ』と言われています。皆既日食は、インドネシア、オーストリア、中国、アメリカと3度経験しましたが、ロケットはケープカナベラルまで行ったものの、スペースシャトルの事故の後で体験できず、アラスカでのオーロラも見られずに終わっていました。

今回はオーロラ再挑戦の意味合いもあったのですが、相変わらず太陽の活動が低調続きで満足できる状況ではなく、カメラのシャッターを20秒ほど開放してやっと緑色が映るという状態の弱いものでした。往復の飛行機の窓から見た淡いオーロラがせめてもの慰めとなりました。

しかし、アイスランドの火山地形や氷河の姿は十二分に満足できるものでした。

雪化粧をした広大な溶岩台地の荒々しさと地球の割れ目が続くギャオ、巨大な氷柱を両脇にして台地から流れ落ちる雄大な滝の数々、そして青い輝きを放つ巨大な氷河もまた印象に残るものでした。

氷河湖から海に流れ出たたくさんの氷塊が黒い砂浜に打ち上げられて巨大なダイヤモンドのように見えるのも圧巻でした。

何よりも寛げたのは、地熱発電を活用した湖のような露天風呂(ブルー・ラグーン)でした。程よい温泉に浸かり、サービスされる生ビールの喉越しの良さは格別でした。毎回食事時に出されるサーモンとニシンの酢漬けを食べていると、オランダでの生活が思い浮ぶ旅でもありました。

私はこれまで、旅の思い出を短歌に読み込んで記録してきました。その名も「旅の百聞一見歌」。これまで作った冊子は7集となります。先の、105日間南半球世界一周の船旅では300首を詠み、乗船者からの希望もあり本格的に出版しました。 9集目の今回、訪れた主な場所の主なものをご紹介します。

 

強風の中踏ん張り続けカメラ持ち  流れ落ちゆくぐるとフォス撮る

 

延々と割れ目が続くギャオの中雪降り積もる底を歩めり

 

両袖に氷柱従え流れ落つ裏見が出来るセリャランス滝

 

溶岩の大地を流れ落下するスコガの滝を見上げ佇む

数百段登りて眺むスコガ滝流れの奥に滝は連なり

 

氷河去りモレーンが残る山筋は採石場を思い起こせり

 

氷河湖に崩れ流れし氷塊のブルーの光感動を呼ぶ

 

黒砂の浜に残れる氷塊の連なる様はダイヤのビーチ

 

広大なヴァトナ氷河に立ち尽くし自然の為せる驚異味わう

 

氷上をジープで走り辿り着く氷の洞窟スーパーブルー

氷穴の艶やかなりし表面にブルーの輝き目に飛び込みぬ

昼食の前菜に添えられしパフィンの肉を食したるかな

店先にパフィンのグッズ並びしも肉もあるとは夢に思わず

 

古に食糧難の時代ありパフィンで凌ぐ記録あり

 

 

白鳥や鴨がひしめき戯れるチョルトニン湖の冬景色

冷戦の終結会談行われしホフジハウスはホワイトハウス

 

聳え立つハトリグリムス教会の形は正に柱状節理

 

今日もまたオーロラ出でず  気落ちして深夜の空を見渡せるかな

車にてオーロラ求めて一時間雲と見紛う姿あり

 

露出かけ浮かび出ずるはオーロラの写真と同じ緑の姿

 

 

8K でアイスランドのオーロラをペルトランにて鑑賞せり

 

朝まだきブルー・ラグーンに入りたる  冷たきビール喉越しの良さ

 

巨大なるアイスランドの露天風呂チュナの温泉思い起こせり

広大な溶岩台地見渡せり改めて知る火山の驚異

ごろごろと冷え固まりし溶岩流鬼押出しの警官覚ゆ

飛行機の窓越しに見るオーロラもレベルが低く淡き色なり

機内よりオーロラハント試みてやっとの思いで撮影終えり

金婚の記念に来たる旅終わり想い出糧に人生歩む

 

お買い物カゴ