日々、秋が深まるなか、大変遅くなりましたが、初夏に行った講演と懇親会のご報告です。
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暑い夏を前にした6月30日(日曜日)の午後、FANの仲間たちと英気を養おうと懇親会を開催いたしました。会場はいつもの八重洲プロント(日本橋3丁目店)です。
懇親会の前に1時間程、当協会の事務局長、寺町氏による講演「オランダで長崎に出会う」を行いました。
VOC時代、長崎から漆器、陶器、絵画などの美術品がオランダに渡りましたが、それらは現在、美術品や歴史資料として価値が高く評価されています。
講師は2000年代初め、商社マンとしてオランダに駐在していました。そこで古美術商のギャラリー(Roell Fine Art)で時空を超えた美術品を目の当たりにして、不思議な魅力に囚われました。
定年退職後、古美術商としてオランダからこれら美術品の里帰り輸入を行っています。里帰り先は、長崎歴史文化博物館や九州国立博物館です。講演ではこの仕事に携わることになったきっかけや、これまでに取り扱った古美術品約30点について解説いただきました。
仕事を始めた頃、日本古地図を風呂敷に包んで飛び込みで神田界隈の古書店を訪問したことなどのエピソードや、博物館の蒐集資料として最終的に里帰りを実現させるには学芸員との信頼関係を築くことに尽きるとのこと。そのために学芸員と一体となって資料の由来や背景などの調査を行うことが必要で、それがこの仕事の醍醐味だそうです。
講演会終了に引き続き懇親会です。
先ずは日頃親しくお付き合いさせていただいている佐倉日蘭協会・山岡副会長の乾杯の音頭でビールを飲み干し、食事を取りながら皆様と親しく懇談させていただきました。
お互い話も弾んだところで、初参加の方を皮切りに、皆さまから自己紹介やご挨拶をいただき、貴重なご経験などを聴かせていただきました。
なかでも、今回オランダからご参加いただいた後藤猛氏には、オランダに長く住んで活動されていることから、NHKの依頼でこれまでオランダに関係する色々な番組制作に関わってきたこと、司馬遼太郎がオランダ紀行を書く際に案内役などで活躍されたお話などを聴かせていただきました。皆さまからもっとゆっくりお話を聴きたいという希望も多かったのですが、何しろオランダ在住で超ご多忙の身、本件はこれからのFANのイベントの課題としてご相談させていただきたいと思っています。
(後藤猛氏には2018年4月にFANのオランダの窓に「孤独も不安も無い明るく楽しい高齢者」というタイトルでご寄稿いただいていますのでご覧ください)
予定の3時間はあっという間に過ぎ、今回会場のプロントのご厚意で提供いただいた素敵なムーミン絵柄のお皿の争奪戦を恒例のジャンケン大会で行いました。
ゲットされた幸運の13名の方は嬉しく、その他の方は悔しくと、和気あいあいの雰囲気のなかで集合写真を撮り、散会となりました。
次回のイベントは11月中旬に予定しています。素晴らしい企画を温めていますのでご期待いただき、皆さま奮ってのご参加をお願い申し上げます。
講師寺町豊氏について
FAN事務局長。商社でオランダ勤務。定年退職後、桃山・江戸時代に平戸、出島からオラんンダなどヨーロッパに渡った美術品の里帰り輸入に取り組み中。